「大人なのだから、子どもよりは上手に生きている」
そんなのは私の勝手な思い込みだったのだなと気づかせてくれた本があります。
それは森見登美彦さんの『ペンギン・ハイウェイ』です。
主人公の”ぼく”は日ごろから本をたくさん読んでノートにまとめ、勉強しています。自分のことを街で一番の勉強家だと自負するほど、朝から晩まで色んなことを調べ、実験しています。
でもそんな”ぼく”は頑固者なのかというと、そんなことはありません。素直な気持ちをちゃんと持っています。
友達が言った思い付きの考えを「その可能性もあるね」と受け入れ、友達と一緒に体を動かして調査していきます。
自分にイジワルをしてくる友だちに対しても、「なぜこんな事をしてくるのかな?」と原因を考えるだけで、友だちを嫌ったりはしません。
アドバイスを受けたことは、メモをするだけではなく、すぐに実践します。
相手の体調・感情をよく観察し、自分のやりたい事よりも相手のことを優先します。とても優しい言葉を添えて。
いったいどれだけ、大人の私はできているのでしょうか?
”上手に”生きていると思っていた私は、実は無意識に自分の考えを人に押し付け、都合の良い事だけを見るようにして”上手”に生きていたような気がします。
そんな生き方はもちろん、思いやりのある優しい生き方ではありません。
ワクワクしながら何かを学ぶこと
相手を思いやったうえで発言すること
人の考えは、まず受け入れること
そんな大切なことを、教訓めいた言葉からではなく、純粋な男の子の行動から学びました。
日々、できるだけ効率的に、自分に有利なように・・と狭い心で生きるのではなく、
日々、のびのびと、穏やかに、人にやさしく・・と広い心で生きていきたいものです。
どんな相手にも尊敬の気持ちをもって。